デザイン思考&成功企業と失敗企業の違い:9日目(前半)

■午前
<1:ベンチャーキャピタル訪問>
ベンチャーキャピタルGlobal Catalyst Partnersに訪問。
日本出身のKoji Osawaさんから話を聞く。

Mr. Koji Osawa
■投資案件の評価基準
投資する際に見てるのは3つ。
  1. 人:Person
  2. 市場:Market
  3. 技術:Technology
この中で最もリスクが大きく、予測が難しいのは市場。

失敗例としてあげてたのが照明のリモコン。
技術的には数十年ほど前からあったらしいが、思ったように売れなかったらしい。
「技術的に新しく、便利な製品になるとしても市場があるかどうかは別」
リモンコンの話はあくまで例えだったけど、市場がなかったのも何となくわかる。

■照明リモコンがそこまで流行らなかった理由をデザイン思考で考えてみる
市場は人間の欲求でつくられているのだけど、リモコンを使って遠くから何度も照明をつけたり消したりする欲求はないと感じる。

デザイン思考の最初のプロセス、EmpathizeDefineを応用して考えてみると以下の通り。

Empathize:利用シーンの想定
本当は他人に話し聞くほうがいいんだけど、ここでは自分の生活を振り返ってみる。
部屋の照明に関わるタイミングや場所は基本以下3つ。
  1. 部屋に入った時(いつ:入る時、どこ:部屋の入口)
  2. 部屋を出た時(いつ:出る時、どこ:部屋の入口)
  3. 寝る時(いつ:寝る時、どこ:ベッドの上)
これが照明でなくテレビならこうなる。
  1. テレビをつけたい時:起動(いつ:いつでも、どこ:部屋のどこか)
  2. チャンネルやボリュームを変えたい時:利用(いつ:いつでも、どこ:部屋のどこか)
  3. テレビ消したい時(いつ:どこでも、どこ:部屋のどこか)
部屋の照明にいつ・どこで関わるかはかなり限定されている。
一方、テレビはタイミングも場所も流動的

いつ・どこで起こるのかが流動的ならリモコンは重宝する。
だけど、いつ・どこでが固定されている場合は遠隔操作の需要がない。

あるとすれば、寝る時に「スイッチ消しに行くの面倒だな」と思うぐらいかな。
でも、人が寝るのは1日1回
日々の生活でそこまで強い欲求にはなりにくい。

Define:リモコンが役に立つ状況とは?
整理すると、テレビは以下の通り。
  • 頻繁なアクション(チャンネル変える、ボリューム操作)
  • アクション場所が不確定(ベッドで見たり、ソファーに移動したり)
一方の照明。
  • そこまで頻繁でないアクション(1日数回)
  • アクション場所も固定的(部屋の入口)
ってことで、日常生活で言えば「リモコンを使って離れた場所か何度も照明をつけたり消したりする欲求はない」ことに。

まあ「あれば便利」程度にはなるから、多少は売れると思うけど。

Ideate:照明リモコンはいつ求められるか?

照明リモコンの需要があるとすれば「頻繁に照明をついたり消したりする必要があり」、「明かりを消す場所と付ける場所がバラバラ」の場合。


すると、例えば「パワポを使ってプレゼンする状況」が思い浮かぶ。

・・・とまあ、こんな感じで考えていくのがデザイン思考のプロセス。
話を戻して講師が語った要点へ。

成功企業と失敗企業の違い
Goole、Yahoo、Skype等をとりあげて、成功した企業に見られる主な傾向を紹介。
  1. 創業者が10代〜20代の間に起業
  2. 創業者がアメリカ出身ではない
  3. 不況時に設立
  4. すでに社会に浸透しているものを再発明
  5. これといった実績を持っていない
  6. 少額でスタート
4は印象的だった。
電話をより便利にしたSkypeや、近所付き合いをよりスムーズにしたfacebook
人間が既にやってることを踏まえた上で、そこに革新性をもたらすことがイノベーションにおいて重要。

完全に新しい行動を求めるサービスや製品だと、人々は受け入ることができないので浸透しにくい。
ふと「これもEmpathizeだな」と思った。

■おすすめ本
ちなみに人々の行動とイノベーションの関係性を学ぶならドラッカーの『イノベーションと企業家精神』がおすすめ。

初版が1985年とか先取りしすぎてビックリ。
今から27年ほど前。
イノベーションと企業家精神